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ママという名の猫


テツが我が家にやって来てすぐの頃
一匹の野良ニャンコと出合った。

私たちは『ママ』と名付けて何かと構った。
ゴロゴロと喉を鳴らしてくれる野良にゃんこ。
初めて接触した野良にゃんこ。


ガリガリだったママ
お腹の中には新しい命が宿っていた。

ママのテリトリーはお向かいの老夫婦の庭先。
雨風しのげるようにといつもルーフは少しだけ空けてくれていた。
ママが縁で近所に知り合いも出来た。

買い物する日は必ずママ用にチーズを買った。
家の近くに来るとどこからともなく現れて誰よりも早くにお帰りをしてくれた。

とても人に慣れていたママ
手からしかチーズを食べなかった。
ちくわや魚肉ソーセージも買っていったけど、
チーズが一番好きだったママ



しばらく姿を見せなくなって心配していたら、
小さなニャンコを3匹連れて戻ってきた。
黒いニャンコとママにソックリなキジトラ

ママと違ってとても警戒心が強くてなかなか近付くことが出来なかった。



その頃ルーフにはトイレと寝床
新鮮なお水とカリカリや缶詰が常に用意されているようになった。
お世話をしてくれていたおばちゃんと何度も家に連れて帰れないかと
話した。答えは出なかった。

お互い猫をすでにかっていて、我が家はクジラとチビテツがいた。


連れては帰れない


だから

どうにか生きていけるように
せめて飢えることのないように


そんな気持ちだった。

買い物では必ず猫缶を買うようになっていた。


ママと別れる時、いつもマンション前の道路まで送ってくれた。
敷地の境界線からは入ってこない。
またねと声をかけるとフールへ戻っていく。



そんな毎日だった。



ある日、ママが初めてマンション入り口まで付いてきた。
ニャーニャー鳴いた。何度も何度も鳴いた。
触ってなだめても、抱きかかえても何度も鳴いた。


『連れては帰れないよ・・』



私が階段を上がるまでずーーっと見ていたママ



たぶん、最初で最後のママのお願いだった。



私はそのお願いを聞いてはやれなかった。



それからしばらくしてママを見かけなくなった。




その後すぐに、道路脇で倒れている黒ニャンコを見つけた。
車の下に隠れていて、そのまま轢かれてしまったんだろう。
体に触れるとまだ温かかった。でも呼吸は無かった。
小さな鼻からは血が流れ出てきていた。



タオルで小さな体を包んでヒゲゴジラと一緒に
ある場所に埋めた。



今そこは整地されてしまったけれど、



今でもチビが眠る場所はそのままだ。




最後のチビもいつのまにか姿を見せなくなり



私たちはその部屋を引っ越した。




私がママを見殺しにした。
私がママの最後の願いを払いのけてしまった。



救えもしないのに救いの手を出したつもりでいた。
それがどんなに残酷なことか無責任なことかも考えず、
ただただママがかわいくて手を出していた。



ママは人知れずひっそりと独りでこの世を去ったのだろうか。



野良猫の現状は酷く過酷なもの
そんな現実を知ったのはずーーっと後だった。
救いの手立てはいくらでもあったのかもしれない。
でも、その頃の私たちにはそんな知識はなかった。



後悔してももう遅いけれど、


もう一度ママに会えるのならば


 もう一度ママが私に最後のお願いをしてくれるのならば



今度は二度と振り払わない。


           もう一度ママに会いたい

ママという名の猫_d0057536_0205941.jpg




          虹の橋で待っていてくれるのだろうか



               待っていて欲しいと願ってしまう




   ママ一家以来、私は野良猫と接触したことはない。

      

           最初で最後の野良ニャンコとの接触



       一生消えることのない私の中の大罪
by kumatenosofu | 2006-10-02 23:51
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